書評
—伊藤 樹史(東京医科大学助教授)—マイクロコンピュータプログラムによる医学統計的方法
岡林 茂義
1
1東京医科大学数学教室
pp.1200
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205427
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"統計学"ときいただけで拒否反応を示してしまう人は割合に多い。医学分野での研究に従事し,あるいは臨床実務にたずさわり,データーを分析し,判断を迫られる人々の間でもまた然りであるようである。本書はこれらの人々にとって,統計学に対して勇気をもたせてくれる絶好の書であり,利用度の高い手引書でもある。基礎知識がなければ先へ進めない,内容をよく理解してからでないと理論も手法も応用することができない,というのはもっともであるが,時には,他の真似を繰り返し行い,その技工を身につけてから更めて理論・知識の修得をするのも一つの方法である。本書の利用者はその意味で,たとい統計学を学ばれたことがなくても,本書例題の解法を真似されることによって,自ら得たデーターの分析・判断ができ,実務に対応ができるようになるはずである。
本書の特色の一つは例題がまことに豊富なことである。しかも,それらの殆んどすべてが著者自らの接した臨床結果を基にしたものでめるから,利用者は自分の研究課題,内容を本書例題のそれと比較し,一致点,類似点を捜すことは容易である。あとは説明文を読み,例題の解法に従えばよい。また豊密な例題と自分の問題とをつき合せていくうちに,統計学的処理の方法に慣れ,興味を抱かれるようになるのは必然である。
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