書評
—監訳 飯尾 正宏(東京大学教授)—NMRイメージング
高倉 公朋
1
1東京大学脳神経外科
pp.147
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205070
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総合的映像診断の概念と技術は,近年著しく進歩し,文字通り目進月歩の勢いで変貌を遂げている。NMRイメージング(核磁気共鳴映像法)に関しても,その理論と基礎科学分野での研究そのものは古くから知られていたところであるが,それが臨床診断機器として登場する可能性を伝え聞いてからは僅か数年の歳月しか経ていないにもかかわらず,NMRは,わが国でもすでに実地臨床診断に活躇を始めており,その画質の改善は著しい。
このように急速な発展を遂げているNMRイメージングについて,放射線診断医はもちろんのこと,多くの各科臨床医は,その理論から実際の画像について,やさしくかつ正しく理解出来るテキストを求めているところであつた。実際に進歩の速い分野で解説書を作るとなると,原稿が出来て出版される頃には,すでに内容が古くなつてしまうものである。本書はNMRの開発に関して,常に先駆的役割を担つてきたカリフォルニア大学放射線科グループの物理学・化学・工学・放射線科の権威が分担執筆し,Kaufman,Crooks,Marguilisにより綿集されたNMRイメージングに関する初めてのテキストであるが,飯尾正宏教授をはじめとして5人の各専門家の方々の御協力で,極めて速やかに翻訳出版された。しかも本書には,原著にない最近のカリフォルニア大学のNMR画像が収載されており,最新情報を得ることが出来る。その脳矢状断面像や腹腔断面像の精密さを見ると,僅か1年間にNMRイメージングが進歩した軌跡はまさに驚異に値するものであることがよくわかる。
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