Japanese
English
総説
筋線維の生理,生化学とその病態—スキンドファイバー法を中心に
Pathophysiological studies on human single muscle fibers
高木 昭夫
1
Akio Takagi
1
1国立武蔵療養所神経センター
1National Center for Nervous, Mental and Muscular Disorders
pp.929-938
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205005
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われわれは数年来ヒトの生検筋より単一筋線維を作製し,その標本につき生理学的あるいは生化学的研究を行つている。単一スキンドファイバーを使用する実験法は本邦において開発され発展してきたものである。近年この方法を応用した研究成果がかなり頻回に報告されるようになつた。スキンドファイバーは一種の生筋モデルであり,筋収縮系や筋小胞体研究に適している。臨床研究の領域において単一筋線維の有用性は,たとえばジストロフィー筋のように結合組織や脂肪浸潤の著明な場合でも,筋細胞を直接の対象として研究しうる点であろう。一般にヒト骨格筋では筋線維タイプは混在している。そのため筋線維タイプやその分化が問題となる時,筋細胞を集団として扱うより,単一筋線維を使用する方が有利であろう。現実に微小分析技術の進歩にともない応用分野が拡大しつつあると考えている。
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