Japanese
English
特集 脳脊髄液
脈絡叢の構造
The structure of the choroid plexus
中村 三郎
1
Saburo Nakamura
1
1日本大学脳神経外科
1Departrnent of Nevrosurgery, Nihon University, School of Medicine
pp.889-909
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204819
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1.緒言
「脈絡叢」または(Choroid plexus」は,いずれもその構造を形容した名称で,「脈絡」は,血液の流れている脈管が豊富なことを示している。一方,"Choroid"は,Choroid=皮+oides (—oid)=……に似た,すなわち,皮に似た形状を意味しており,その形状をよく表現している。この両者の名称からもうかがえるごとく,脈絡叢は血管の豊富な膜状を呈した器官である。
脈絡叢に関する最初の記載は,Herophilus (C 335-280B.C)によるとされ42),その存在については古くから注目されていたが,脈絡叢の機能については,1914年,Cushing12)の観察に至るまで見るべきものがない。すなわち,彼は露出した脳室内の脈絡叢表面に液体が貯溜する現象を認め,でさらに,脈絡叢動脈を閉塞するとこの現象がみられなくなる事実から,脈絡叢が髄液の産生器官であることを示唆している。その後の多くの検索で,現在,脈絡叢に髄液の産生能があることは多くの認めるところであるが10,11,13〜15,17,26,47),さらに,髄液の吸収能を備えていることを示唆する報告3,7,27)もみられ,その機能が単純なものではないことがうかがわれる。
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