連載 電子顕微鏡による脳の形態学アトラス・7
上衣ependymと脈絡叢plexus chorioideus
山田 英智
1
1九州大学医学部解剖学教室
pp.1052-1059
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202127
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脊髄中心管,第4脳室,中脳水道,第3脳室および側脳室の内面を覆うのが上衣で,上衣細胞からなる。上衣細胞は単層円柱上皮の形態を示すが,基底部で接する神経組織との間には基底膜はない。上衣細胞のあるものは基底部から細長い突起を出し(上衣線維),神経組織内に深くのび,しばしば毛細血管の周囲にこれを取囲むように終り,あるいは,脊髄などの表面にまで達して,表面を境するいわゆるグリア性限界層の構成要素となる。このような上衣細胞は特にtanycyteと名づけられる。
上衣細胞の自由表面には微細な絨毛様突起と繊毛とが認められる。この繊毛の運動方向はリクオールの流れと関係があると想像される。隣接上衣細胞相互の間はあまり入りくんでいない。内腔に接する部位では癒合帯があつて細胞相互間は癒着されている。その他所々に接着斑や癒合斑が認められる。核は深い切れこみを示すことが多い。細胞質内には核上部にGolgi装置,桿状または糸状の糸粒体,繊毛の基底小体から派生する根小毛などの他に,70〜80Å径の微細線維が束状をなして走つており,また径約200Åのmicrotubuleが細胞長軸に沿つて散在性に認められる。上衣線維では,このような微細線維とmicrotubuneとが長軸に走り,その間に糸状の糸粒体と,小胞体とが散在している。これが血管に終るところでは,基底膜を介して血管内皮細胞に接している。
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