Japanese
English
総説
Dyskinesia (異常運動)
Dyskinesia
平山 恵造
1
,
山田 達夫
1
Keizo Hirayama
1
,
Tatsuo Yamada
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute, School of Medicine, Chiba University
pp.1091-1099
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204664
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I.Dyskinesia (異常運動)の定義
dyskinesiaという言葉は様々に使われている。たとえば,①dyskinesie volitionnelle d’attitude (後述)のように,明確な症候学上の規定のもとに,ある特定な不随意運動を指摘している場合がある。また例えば,②ある種の薬剤によつて惹き起こされる不随意運動に対して薬剤惹起性異常運動(drug induced dyskinesia)と呼ぶことがある。この場合個々の不随意運動は既存のchorea,athetosis,ballismなどで呼称できるときでも特殊な薬剤投与という条件下に現われる点を強調して,これら一連の不随意運動をdyskinesiaと称することが多い。したがつてこの場合のdyskinesiaは症候学的にある一定の特色を示すものとは規定できない。またさらに,③dyskinesiaは振戦のように規則性のないtic,書痙,痙性斜頸,spasm,dystonia,などの不随意運動やあるいはakathisiaをも広く含んだ概念として用いられる場合がある。この場合にはも早,不随意運動というのとさして変るところがない。すなわち第2の場合もまた第3の場合もdyskinesiaは症候学的には単にabnormal move—mentを意味しているにすぎない(その中にも,規則的律動性をもたない,もっと不規則な,"変な"運動という語感が含まれているものと思われる)。
このようにdyskinesiaは症候学的に一定の定義づけがなされないまま,その情況によつていろいろに使用されているのが現実である。
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