Japanese
English
総説
脳血管閉塞の再開通現象
Review of the clinical reports about recanali-zatiorl of occluded cerebral artery
入野 忠芳
1
Tadayoshi Irino
1
1阪和病院脳卒中診療部
1Division of Cerebrovascular Diseases, Hanwa Hospital
pp.135-151
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204196
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I.はじめに
1927年Egaz Moniz58)によって創始された脳血管撮影法は,その後の撮影装置や造影剤の改良とあいまって,種々の頭蓋内疾患の診断に広く導入されてきた。とりわけ,本法においては脳血管そのものの形態的変化を描出しうることが他の検査法の追随を許さぬ特性であり,CTスキャンの普及しつつある今日においてもなお,脳梗塞をはじめとした虚血性脳血管障害の臨床上に不可欠のものである。そして,本法は閉塞性脳血管障害における病態に関する多くの知見を明らかとしてきたが,それらの知見のひとつとして脳梗塞症例にみられる閉塞血管の再開通現象があげられる。すなわち,脳血管閉塞症においての血管閉塞が必ずしも永久的なものではなく一時的閉塞の後に消失するという現象が脳血管撮影によって確認され,この再開通現象については神経放射線学的診断の立場からしばしばとりあげられてきた。
一方,近年においては,閉塞性脳血管血障害に対する治療法として,内科的には線溶系薬剤による線溶療法,外科的にはEmbolectomyやBy-Pass形成術などの血行再建術によって,閉塞部位での血流を再開させることを目的としたところの血行再開療法が試みられるようになってきた。
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