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編集後記
塚越 廣
pp.1130
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203793
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- 文献概要
医学論文というものは適当な材料さえあれば,何時でも何処でも書けそうに思われるが,実際にはそうではないらしい。
先ず問題となるのは書く人の側の条件であろう。医学校を卒業して医者としての修業を始めた頃には,適当な症例にあたつても,これを論文としてまとめ上げるのは容易ではない。その症例の特徴を理解し,その病気の従来の考え方を認識するには医学全般に亘る知識の集積が必要であり,また一定の論文形式に慣れるにも多くの習練と時間を要するからである。数分前後で簡単に要約する学会には出したが,論文として発表されない症例が少なくないのは,論文を書き上げることの容易でないことを示すものと思われる。
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