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編集後記
生田 房弘
pp.267
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203510
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現在発刊されている神経学各分野の,多数の雑誌がまだほとんどなかつた頃,すでにこの「脳と神経」は日本の神経学の芽をはぐくみ,そして研究の動きを反映しつつあつた。他の編集委員もこの欄でのべられたように,26巻以後この誌に「新たな酒を盛りたい」ということを機に,私も編集委員の末席に連らなることとなつた。私はこの任の重大さをかみしめながら,喜んで精一ぱい頑張つてみようと決意した。
科学雑誌の「編集」という語でいつも思い出される場面がある。10余年前の留学当初,ある日の朝の検討会の冒頭に,主任のH.M.Zimmerman教授が何やらカンカンにどなり始められた。きき耳を立ててみると,「論文というものは研究者が知見を得たときに,書かずにおれずに書くもので,出版者が依頼するから書くというようなものではない,と雑誌の編集者に自分が原稿を依頼されたことについての怒りを私共にぶちまけられた場面である。
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