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編集後記
生田 房弘
pp.607
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205732
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今世紀最初の回帰が1910(明治43)年であったハレーすい星が今年,76年ぶりに地球に戻り,世界の人々の夢を宇宙に引きつけた。一方その宇宙に向かったアメリカのチャレンジャーは世界中が注視する中で暴発し,消えていった。そして,ソビエトもチェルノブイリ原子力発電所で大規模な事故をおこした。それでも核爆発実験を続ける国があり,テロが重ねられ,他国を爆撃する者もあった。その度に,我々には解り様もない理屈をつけて,引金を引き,アクセルを踏んだ人間が必ずあった筈である。
九大の天児先生はハレーがこのすい星の回帰性を見出した経緯などを,興味深く披露しておられる(日本医事新報「ジュニア版」251号:28昭61・4)。万有引力の法則ですい星の軌道を計算する法則を発表した頃のニュートンとも親交のあったハレーは,その法則と昔の記録から多数のすい星の軌道を計算し,この星が70数年の間隔で見られることを「予測」した。まさしくすい星が現れ,ハレーの正しさが立証されたという。
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