書評
—原 一郎・他編—臨床脂質化学
中村 治雄
1
1慶応大学内科
pp.1142
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203181
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今回,臨床脂質化学と題して,31名の専門家により,脂質代謝に関して,臨床と基礎を結びつけた好著が,医学書院より上梓された。
本書は5編より成つており,まず第1編に脂質に関する化学的基本事項や,分析手段の紹介がなされ,第2編で脂質の代謝経路として,コレステロール,トリグリセライド,脂肪酸,燐脂質,糖脂質などの代謝について,合成と異化の面での解説がなされている。第3編に,脳神経,血球,生体膜などの脂質について,第4編に脂質の消化し,吸収,血漿中での転送,遊離脂酸,脂肪組織,内分泌あるいは神経性の調節機転,必須脂酸の問題点にすぐれたreviewをみることができる。第5編では,臨床的な代謝異常について,血中脂質濃度の異常の分類,粥状硬化,冠疾患,肝および胆道疾患,脂肪肝,腎疾患,糖尿病,肥満,神経疾患,脂質蓄積症などをとりあげて,解説がすすあられている。
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