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I.はじめに
近年脳神経外科の分野に於いて脳血管写が補助診断法として取り上げられ,殊に脳血管障害の原因を究明する必要から4vessels studyが積極的に行われるようになり,それに伴つて椎骨動脈領域の血管走行の異常を示す症例についても報告がみられるようになつた。これら血管の走行異常を示すものの1つに椎骨脳底動脈領域の窓形成(Fenestration)があるが,これはKadyi7)の剖検例の報告を最初とし,その後剖検ならびに血管写によつて証明された症例の報告がみられる。この窓形成の頻度は報告者によつて若干の相違はあるが,大体0.3%〜2%の間とされており,その存在意義に関して現在のところまだ明確なものはない。我々は過去5年間に216例の椎骨動脈写を行つたが,そのうち4例にこういつた窓形成例をみた。そこで各々の症例を示すと共に,現在までに脳血管写によりみつけられ報告されている16例の本邦例を含めて検討し,発生学的見地から文献的考察を加えてみた。なお椎骨脳底動脈領域の血管走行は錐体の像と重なるために,血管の走行を追跡するにあたつてはしばしば困難なこともあり,これを解決する手段としてsubtra—ctionの方法が用いられている。しかし従来の方法では操作の点で複雑であることや,迅速性に欠けるが,Televisubtraction装置(Minusca製)を用いることにより迅速にかつ大量の資料の検討が可能であつた。
In a study of 216 vertebral angiograms made at our Department for past 5 years, four cases were found to have fenestration in the vertebrobasilar system. Its incidence was 1.9 per cent and the site of fenestration was intracranial in all cases.
Sixteen cases, which have been reported in Japan, were reviewed and analysed together with our four cases. There was an impression that the pre-sence of fenestration of the vertebrobasilar artery might be associated with vascular diseases. However, it may well be said that diagnostic need to perform angiographic studies in cerebrovascular diseases gives more chances to find the vascular anomaly.
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