書評
—岡本 道雄・他 編—脳の解剖学
長島 親男
1,2
1毛呂病院
2東大脳神経外科
pp.769
発行日 1972年6月1日
Published Date 1972/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203140
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- 文献概要
前略,「脳の解剖学」まさに拝受しそして拝読致しました。大変,立派な本で,私ごとき臨床家が書評をするなど,まことにおこがましく存じます。どの章をみましても,その道一筋に究明してこられた大先達,あるいは新進気鋭の学究によつて執筆されており,ただただ教えられることのみ多く,座右の書として,まことに得がたき一書と思います。ただ一言,注文をつけさせていただくならば,読者が細かい部分までよく見たいと思う図や,もう少し大きければ見易いのにと思う図が意外と小さすぎたりして,もう少し図の大きさに神経をくばつて欲しいと感じられる部分もありました。
朝倉書店の書物には私の思い出があります。それは,血行動態とくに流体力学について1つの疑問が生じ,大学の図書館で外国のさまざまな有名な生理学の書物を読みましたがなかなか要領をつかめませんでした。たまたま,そこにあつた「臨床のための生理学・昭和42年,86-90頁」をよみ,なるほどそうであつたのかと得心したことがございました。まさに"朝に道をきかば,夕に死すとも可なり"の気持をいだいたものでした。そしてこの部分は謹んで私の論文の引用文献に加えさせていただきました。
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