Japanese
English
神経眼科アトラス7
眼底出血
Hemorrhage of the Ocular Fundus
清水 弘一
1
Koichi Shimizu
1
1東京大学医学部眼科
1Department of Ophthalmology, University of Tokyo
pp.1235-1238
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202989
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出血の機序を考える際に,通常,血液側の因子,血管壁の状態ならびに血圧の3要素が関係しているとされる。眼底出血についても,基本的にはこの3要素について考えることにより,出血のすがたがよりよく理解できる。この際に,眼に特有な事情として,眼球が内圧をもつた器官であり,したがつて,血管壁にかかる力は,血圧から眼圧を差し引いたものになること,したがつて,他の条件が同じであつたとしても,眼底血管はその意味ではよりよく保護された状態にあることが留意されねばならない。すでに述べたように,眼底血圧自体,その絶対値自体が上腕での血圧よりもはるかに低いのが普通であるために,この意味からも,たとえば皮下出血などに比べ,眼底出血が一般には起こりにくい事情が理解できよう。
出血性素因が主として関係して起こる眼底出血の代表としては,貧血や白血病によるそれが挙げられる。網膜組織の低酸素症にもとづく血管壁側の異常が無いとは必ずしもいえないが,一般に,貧血による眼底出血では,病理組織や螢光眼底造影による検索でも,散発的な毛細血管瘤形成を別として,出血の原因部位とか,血管壁の透過性亢進は証明できないとされている。
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