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I.はじめに
松果体の機能については,古くからすでに多数の研究があるが,今日なお解明されているとはいいがたい。最近,この問題に関して興味ある示唆を与える成績が多方面からえられてはいるが(KappersとSchade 19653),Kitay 19675)),松果体は,なお依然として謎の器官のひとつにあげられている。松果体の機能において,その性腺との関係については,周知のように古くから論議がくりかえされた問題であるが,必ずしも一致した結論には到達していない。性腺除去の松果体に及ぼす影響についても,多数の報告があるにもかかわらず成績はまったく一致を欠き,性腺の除去によって,一方では松果体の大きさに変化を認めているのに対して,他方ではこれを認めないとする成績も少なくない(KitayとAltschule19544))。また,性腺と関係のある下垂体の除去の松果体の大きさに及ぼす影響については,今日なお精細な検討を欠いている。
いずれにしても,このように松果体の大きさを対象とする実験においては,その大きさの正確な計測が前提となることはいうまでもない。この点についてみると,松果体の大きさをとりあつかつた従来の研究は,計量的な成績に乏しく再検討を要すると考えられる。とくに,マゥス松果体の大きさの生後発育については,これを計量的に追及した成績は従来みられなかつたので,さきに,私は,計量組織学的な立場からそれを追及したが,今回はさらにつづいて,性腺除去と下垂体除去が松果体に及ぼす影響を同様に計量組織学的に検討した。
Effects of gonadectomy and hypophysectomy on the pineal in the mouse were studied by means of a quantitative-histological method.
Following gonadectomy the pineal showed a tend-ency to increase in volume in both sexes. Partic-ularly in females the increase in pineal volume was statistically significant. The pineal showed a highly significant decrease in volume after hypophysectomy for both sexes.
The pineal hypertrophy in gonadectomized mice was due primarily to hypertrophy of the pineal cell at the peripheral area of the pineal, and the pineal atrophy after hypophysectomy to marked decrease in the size of pineal cells throughout the pineal.
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