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Sament(S. Afr. M. J. 31:893,1957)がはじめてhyperosmolar non—ketoacidotic comaを糖尿病に見出してから,Danowski(Diabetes 14:162,1965)までに世界文献に32例報告され,さらに未発見未発表も多いと推定される。著者らはかかる8例を新たに本報に記載している。これはわずか1年の間に見出したものである。1例をあげると,71歳肥満婦人,昏睡にて.他院入院。数ヵ月来糖尿病症状つよし。昏睡状だがアセトン臭なし,脱水著しい。血圧95/60。項強直あり。四肢は疼痛刺激に反応す。尿糖(++++)。アセトン(−)。血糖880mg,Nal34mEq,K4.1mEq,CO224mEq,血漿比量1030,尿素150mg,滲透圧317mOsm/l。12時間以内にインシュリン500cc注。効なし著者らの病院に転院。血圧220/120。脱水に対し5%糖,インシュリンを与え改善。他の7例も血糖690-1210mg,Na149-170mEqという高張で,脱水あり,尿アセトン(−),Cl110-135mEq,K正常,血漿比重1031-1035,いずれも低血圧である。その症状持続は3日−3週,血清滲透圧339-389m○sm/l,糖.インシュリン,水分で回復したもの4例,死亡4例。56-71歳で高年者に多い。本症は著しい過血糖のため滲透圧利尿がつき,脱水,高Na血症となつてhyperosmolarityとなるのであろう。アシドージスはないのが普通。高血糖・脱水のためketoacidosisにならぬのであろう。文献症例のすべてに昏唾あるいはprecomaあり。
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