脳神経外科が診療科名になつた！

　こう書けば，なんだまだ診療科名ではなかつたのかとびつくりする人が多いと思う。ことに外国人に聞かれたらこれは国辱ものである。欧米はもちろん，アジア諸国でも脳神経外科neurosurgeryは眼科や耳鼻科や整形外科同様立派な独立診療科だからである。

　もつともわが国では診療科名でないからといつて，その分野の診療をしてはいけないという法律はない。ただその科名を看板にだせないというにすぎない。周知のように医療法（昭和23年法律第205号）第70条（診療科名）第1項第1号に「内科，精神科，神経科，……外科，整形外科，……理学診療科（又は放射線科）」の17の診療科名を規定し，第69条でこれら以外の診療科名は「文書その他如何なる方法によるを問わず……広告してはならない」とさだめているのである。ただしこれら以外でも，厚生大臣があらかじめ医道審議会の意見を聴して許可した診療科名はその許可を受けた医師の名をつければ広告することができるのであつて，俗にこれを特殊標榜科名といつている。すなわち後者はあくまでもその許可を願いでた医師個人について許されるのであつて，施設そのものには許可されないのである。現在のところ麻酔科のみがこれに該当する。これに反して前記17科名は一般標榜科名と呼ばれている。