特別講演
Theodore Rasmussen教授を囲むコンファレンス—東大脳神経外科1963.4.9.
畠中 坦
1
1東大脳神経外科
pp.633
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201497
- 有料閲覧
- 文献概要
東京医学会での講演終了後,Rasmussen教授を迎えた東大脳神経外科では病室の回診と,同教授を囲んで基礎的研究についてのコンファレンスがもたれた。コンファレンスでは,「脳浮腫とその治療」がテーマにとりあげられ,東犬脳神経外科における研究内容が同教授に向つて説明され,これに対しRasmussen教授からの意見開陳が行なわれた。
まずRISAを使つてステロイド・ホルモンに強力な血脳関門防衛能があることを示した実験結果が披露されると,同教授は「このデータこそ,私がかねがね強調しているように脳の手術の前から予防的にコーチゾンやその他の副腎皮質ホルモンを投与すると好結果を生むということの実験的証明である」といわれた。さらに畠中は「一般に脳浮腫の治療が問題になる場合には,既成の脳浮腫のことが多いので,この実験データのみからは,予防的効果しか証明できぬのではないかと当初考えたが,すでに破綻せる血脳関門がその本来の関門作用をステロイド・ホルモンによつて回復できるとすれば,組織から血中への流出が続くかぎり脳浮腫は消失し得るはずで,また事実,臨床的に脳浮腫が治療されているのでそう考えざるを得ない」と追加した。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.