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褐色細胞腫がRecklinghausen病を合併することは多いがvon Hip—pel-Lindau症を合併したという4例が知られている。本報は1家で2例の褐色細胞腫+von Hippel—Lindauの発生を記載した珍らしいものである。第1例,46♀。16年前から前頭側頭部疼痛をおぼえ,以来烈しいときは悪心嘔吐あり,だんだん衰弱す。ただし心悸亢進・発汗なし。右眼は義眼。血圧,160/90,神経学的所見は正常だがレ線で頭蓋には中央線に石灰化松果腺が見え,上顎洞前額洞炎あり。そのうち失神発作がはじまる。1側ケイレンに伴い呼吸停止し,人工呼吸したことあり。血圧210/140となる。眼底に小出血巣と浮腫あり。剖検で左副腎に50g,右副腎に40gの褐色細胞腫あり。左小脳半球に径3cmの嚢胞,壁に12mmの血管腫硬結あり。延髄を圧迫す。このために死亡したと思われる。第2例,38歳♂。第1例の子息。5ヵ月来の頭痛で入院,嘔吐,メマイ,hot flash,心悸亢進あり。髄圧280mm,蛋白30mg,糖87mg,小脳腫瘍を疑う。血圧200/100。眼底に出血斑あり。右眼底浮腫。脳室写を試みようとしたときケイレン・昏睡発作で死亡。副腎は右40g,左25gの褐色細胞腫あり。左小脳半球に4cm径の嚢胞状血管腫あり。こうしたvon Hippel-Lindau病以外に,tuberous sclerosis, Sturge-Weberを合併する褐色細胞腫の症例も報告されている。neuroectodermal系の系統疾患と考えられる。褐色細胞腫は家族的に出現することがあつて,そうした10家族25例が知られている。優勢遺伝と思われる。この25例の半数12例が左右両側性であつた。
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