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Michael Reese Hosp.で過去7年,頭蓋内腫瘍発見の目的で髄液の腫瘍細胞発見の努力を続けた。3—6ccを遠沈,Papanicolaou法検査。または脳室撮影でえた脳室液の同様検査。やや古いところではPlatt(1951)が同様の検査を行ない,glioblastoma患者髄液から異型細胞をみており,McCormack(1953)は癌の脳転移で髄液に癌細胞をみいだし,その他Larson(1953),Spiggs(1954),Murphy(1955),McMenemey(1959)などこの方面の貢献を見る。著者の2270脳腫瘍のうち,最近の手術ないし剖検確認110例では44例(40%)に髄液に腫瘍細胞が検出された。
これは一見低率のようだが,他の検査で脳腫瘍の所見のまつたくなかつた症例なのだから,その診断意義はけつして没すべきでない。ここに典型的な3例を例示した。59歳男,3カ月来の嘔吐・嗜眠で入院,鬱血乳頭あり。髄液圧600mmH2O,液透明。20μ大の孤在性の異型細胞みゆ。脳室写にて腫瘍を思おせる所見なし。脳室液にそれと同性状,よく保存された細胞が見え,転移癌細胞と診断。胃検査で胃癌をみいだす。剖検で胃の腺癌,大脳皮質・脳膜転移。50歳女,失神発作にて入院。血圧120/70。髄液無色透明,圧150mm蛋白26mg。やや長い不規則形の核をもつ,細胞質酸好性の異形細胞見ゆ。astrocytomaの腫瘍細胞と診断。EEG正常。頭蓋レ線像正常。5カ月後再入院。・昏迷・多幸・記憶喪失あり。脳室写にて左室変位,その液に上記細胞あり。手術的剔除。astrocytoma,GradeIII—IVなりぎ。第3例5歳少年,1カ月来の頭痛で入院,起床時悪心嘔吐あり,斜視・複視あらわる。鬱血乳頭(⧻)。脳室写で両室拡大,水導およびIII・IV室の右方偏位あり。その液に直径10-15μ,不規則円形細胞あり,核質濃。medulloblastomaを疑う。開頭,IV室中央線のmedullo.であつた。
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