Japanese
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研究
高血圧性脳出血の診断および早期手術に関する知見
A REFERENCE TO THE DIAGNOSIS AND THE EARLY OPERATION OF THE HYPERTENSIVE INTRACEREBRAL HEMORRHAGE
堤 裕
1
Yutaka Tutumi
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Tokyo Univ. School of Medicine
pp.1135-1154
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201387
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I.緒言
脳卒中による死亡率はわが国においては,昭和29年より全死亡例の第1位を占めており,欧米諸国においても第3〜6位にある現状である。にもかかわらずこれら脳血管障害に対する治療は常識的にはまつたくの保存的処置の域をでず,脳出血に対しての薬物療法の効果がはたしてどの程度有効であるかにはかなりの疑問がもたれるのである。欧米においてはすでに数十年前より脳出血に対する外科的治療が行なわれ,その成績はかならずしも満足すべきものではないが——ことに高血圧性脳出血に対しての成績はその術後死亡率においては保存的処置と大差は認められないようであるが——脳出血を脳実質内の占拠性病変(space—occupying lesion)と考え,適当な時期にこれを除去することができれば,理論的には病状の回復を望めるであろうとは誰しもが考えうるところであり,現実の成績はともかくとして,将来のそれに大いに期待できるのではあるまいか。
わが国において,脳出血の新鮮例に対し手術を行なつた報告は,第57回精神神経学会に著者らが報告した1例36)以前にその例を見ない。不幸にしてこの例は術後数時間にして死亡しているのであるが,その後,術後比較的良好な1例を経験しており,これらの例から今後の診断上,処置上の諸問題に関し得るところはなはだ大であつたと考えている。
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