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特集 大脳辺縁系
海馬脳波の徐波パタンと視覚野の誘発電位
HIPPOCAMPAL SLOW WAVE AND EVOKED POTENTIAL IN THE VISUAL AREA
平尾 武久
1
,
鳥居 鎮夫
2
T. Hirao
1
,
S. Torii
2
1群馬大学医学部生理
2東邦大学医学部生理
1Dept. of Physiology, School of Medicine, Gunma University
2Dept. of Physiology, Toho University, School of Medicine
pp.863-866
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201141
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内部環境の変化が大脳皮質の電気的活動に強く影響を及ぼすことはよく知られた事実である。従つて,皮質の電気的活動の神経機序を解析して行く場合に内部環境を出来る限り一定に保つことは解析しようとする現象を簡単にするためにも非常に重要なことである。この目的のためにわれわれは三叉神経起始部の頭方部で脳を切断したネコ標本を用いた。この標本では人工呼吸の速度を変えることにより血中の酸素や炭酸ガスの濃度を人工的に自由に変えることが出来る。また全身血圧は殆んど一定であつて,例えば脳を直接電気的に刺激しても血圧にはみるべき変化がおこらない。また一方,この脳は嗅粘膜と網膜との2つの受容器だけによつて外界と神経性の結合があるにすぎないので,光刺激を調節することにより皮質脳波を一定のパタンに保つことが出来る。例えば,暗くしておくと皮質脳波はどこの領野でも所謂覚醒波パタンを示しているが,光を照射して約10分位たつと紡錘波が優勢になる(第1図)。
このような標本について,視覚系の中継核である外側膝状体を刺激して大脳皮質の視覚野から導出される誘発電位を観察してみると,刺激部位や導出部位によつて多少異なるが,最も一般的な波形は3ないし4個の陽性波とそのあとに続く2相性の陰性波から成るものである。
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