Japanese
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文献抄録
蝶形後頭骨脊索腫,他
Stereotactic diagnosis and radiooctive treatment in a case of sphcncccipital chordoma
Zoltan, L.
pp.756
発行日 1961年10月1日
Published Date 1961/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201124
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蝶形後頭首部の脊索腫の診断,治療および予後は最もむずかしいもののひとつである。しかし脊索腫の報告はだんだん多くなつておりUtne& Pugh (1955)の統計で頭部のそれが197例といわれる。好発年齢は40歳ごろ,大きくなると中頭蓋窩を満すほどになる。大体初発症状から3〜3.5年の持続といわれるが,長いものも短いものもある。診断はなかなか困難で鑑別が容易でない。手術療法の文献成績を一覧しても,数年生存しえたのは5〜6例にすぎない。著者はBudapestの脳外科で31歳男子の1例を精査した右鼻根部を開きステレオタキシー装置を入れる腫瘍部の生検標本をとり,Yt90(5〜6mc)シード5本を挿入した。ついで翌日目標を少しかえてシードを人れかえた。組織は(悪性)脊髄腫である。8日後退院,以後毎週精査。半年後全く神経症状なく労働に従事している。入院は前頭痛・複視・左外旋神経麻痺・左動眼神経不全麻痺・視力障害・ニスタグムスがあつたが,手術4週後には殆ど症状が去り,主観的客観的に大いに改善し,6ヵ月後磨鉱夫としての職に戻つて9ヵ月には全く完全にその重労働をなしうるに至つたのは驚異に値する。すなわちYt90のステレオタキシーによる埋植はこの腫瘍治療にきわめて有効であるとおもわれる。3ヵ月以後の予後については慎重な観察が必要である。
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