Japanese
English
第10回綜合医学賞入選論文
超音波血流検査法の研究
STUDIES ON ULTRASONIC BLOOD-RHEOGRAPH
金子 仁郎
1
,
小牟田 清博
1
,
小谷 八郎
1
,
里村 茂夫
2
Ziro Kaneko
1
,
Kiyohiro Komuta
1
,
Hachiro Kotani
1
,
Shigeo Satomura
2
1大阪大学医学部精神神経科教室
2大阪大学産業科学研究所
1Department of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School
2Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University
pp.921-935
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200997
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
運動する流体内へ超音波を入射し,その反射波を利用する"Ultrasonic Blood-Rheograph"の臨床的応用として以下のごとき成績を得た。
1.検出音波型には連続型と断続型があり,一般に頭蓋内へ灌流する動脈は連続型であり,四肢の動脈は断続型の傾向がある。
静脈に関しては一部のものが搏動あるいは呼吸性変動等を示す場合を除けば原則的に連続型である。
検出音の含有周波数は動脈は800c/sを中心とし,静脈は200〜300c/sを中心として分布する。しかし内頸静脈,動脈はともに特異的に高調であり3000c/sに及ぶ場合がある。
2.四肢動脈の末端に近い部分は室温を30℃程度に上昇せしめると著明に連続型に移行する。この時手掌を握りしめさせ,あるいは身体の一部に寒冷刺激を与えた場合,直ちに断続型へ移行する現象を捉えた。さらに検出部の末梢側にマンシェット加工を行い,血流抵抗を異常に増大せしめた場合,特異的な断続波型を得ることを認めた。
寒冷刺激に対する血流変化の反応は外頸動脈あるいはその分枝についても認めたが,内頸動脈については,この程度の刺激では反応を示した症例は未だ認めない。 血管収縮剤,拡張剤を犬に投与した場合,大腿動脈の検出音がそれぞれ著明に断続型ならびに連続型へと移行した。
3.一般に連続型である総頸動脈は,年齢増加とともに峡部を著明にし,断続型へ移行する。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.