書評
—群馬大学教授 澁澤 喜守雄 著—『シヨツク』
荒木 千里
1
1京都大学
pp.209
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200900
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米軍と一緒に米国医学が進駐してきた時,彼我の間で先ず話題になつたのは,当然彼等軍医の得意とする戦争医学の問題であつた。シヨツクもその一つで,色々話してみると仲々目新しいことが多いというので,戦後の日本外科の大きな研究テーマの一つとなつた。そして昭和24年にはこれが日本外科学会の宿題に取上げられた。著者はその時の宿題担当者5人の中の1人である。私が今でも記憶しているのは,その時の著者の演説には戦前派の人々の理解困難な新しい言葉が沢山出てきて,大いに皆を驚かしたことであつた。今になつてみれば,誰もが知つていることなのであるが。
著者はそれから10年,ずつとこの問題,或はそれから派生した問題の研究に打込んでき書ている。問題の性質上研究の範囲が非常にひろくならざるを得ない関係もあつて,一寸真似の出来ない物凄い勉強振りを発揮しているのは,私共が日頃敬服しているところである。その勉強の結果が本書の中にもよく出ている。往年の呉建教授の『自律神経系』の著書を思い出させるものがある。
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