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あとがき
A
pp.623
発行日 1959年7月1日
Published Date 1959/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200827
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- 文献概要
最近坂本秀夫前東大教授の"自律神経遮断剤の臨床"という著書が出た。序文にもあるように神経の化学的伝導学説の発展を契機として,最近に於ける自律神経剤特に自律神経遮断剤の研究発展は目覚ましく,自律神経の作用機序の解明並びに自律神経系の関与している疾患の治療に広く応用されている。特に高血圧症の治療,消化性潰瘍の治療,ある種の精神病の治療には現在欠くことの出来ない薬剤となつている。これら種々の問題を著者自身の研究と経験に加えて今まで報告された自律神経遮断剤の発展の研究を総括し,特に自律神経遮断剤の発展史,作用機序,臨床的応用,注意すぺき副作用について記載している。A5版190頁余の著書ではあるが仲々興味深いものといえよう。
また近々大阪赤十字病院の太田幸雄博士の訳による"Faust: Das klinische Bild der Dauerfolgen nach Himverletzung"の日本版の出版が予定されている。労働災害,交通災害の増加に伴い頭部外傷の問題が大きくクローズ・アツプされている今日外傷性脳損傷後遺症の鑑定は臨床的にも大変重要になつて来ている。また社会復帰の点でも脳損傷者には特殊な問題が絡んで来る。外傷性脳損傷によつて人格や作業能力の持続的な変化が起ることは周知の所である。
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