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ロートラポンの精神科領域に於ける治療体験について
長坂 五朗
1
,
岩井 豊明
1
,
宮本 晴夫
1
,
美吉 伊八郞
1
,
栗林 正男
1
,
高幣 常郞
1
,
山口 良典
1
,
片山 虔
1
,
吉松 義男
1
,
小林 幸多
1
1堺脳病院
pp.411-417
発行日 1956年1月20日
Published Date 1956/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200481
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1.まえがき
インドのヒマラヤ山麓及びマライ半島地方に産する夾竹桃科に属するRauwolfia Serpentinaの根は,インドに於ては古くから精神病,ヒステリー,不眠等の治療に経験的に使用されており,1953年インドのHakimがRauwolfia製剤を精神病患者146名に使用し,その治験成績を発表するに及んで始めて学会の注目を惹くにいたつた。
一方この種製剤は血圧降下剤としてBose (1931)以来効果が漸次認められ,これについての報告は数多くあり,吾国でもすでに市販されるまでにいたつているが,精神科方面への応用例については,阪大,北大等の2〜3の発表をみるにすぎない。吾々は昨年10月頃より本剤の精神科領域に於ける適応性について,臨床上の検討を加え,去る第53回近畿精神神経学会(30年2月6日)に於て数種Rauwolfia alkaloidとしてRautrapon及び単一alkaloidのReserpin (Serpasil)を使用した経験についてすでに発表したが,本報告はRautrapon (小野藥品提供)の成績の要点を記載したものである。
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