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総説
シャルコー・マリー・トゥース病
Charcot-Marie-Tooth Disease :: An Overview
神田 隆
1
Takashi Kanda
1
1東京医科歯科大学大学院脳神経機能病態学
1Department of Neurology and Neurological Science, Tokyo Medical and dental University Graduate School
キーワード:
Charcot-Marie-Tooth disease
,
hereditary motor and sensory neuropathy
,
onion-bulb change
,
PMP-22
,
MPZ
Keyword:
Charcot-Marie-Tooth disease
,
hereditary motor and sensory neuropathy
,
onion-bulb change
,
PMP-22
,
MPZ
pp.576-586
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100508
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はじめに
シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth病:CMT)は,両側下肢遠位筋から始まる緩徐進行性の脱力と筋萎縮,足の変形を主徴とする末梢神経の遺伝性変性疾患の総称である。1886年にパリのサルペトリエール病院のJean Martin CharcotとPierre Marieが本症をはじめて記載して以来9),1世紀余のあいだ原因不明の遺伝性疾患とされていたが,1991~1992年にかけてCMT 1型の大部分を占める1A型の原因であるPMP 22蛋白遺伝子の重複が発見された36)のを嚆矢として,この10年余りの間につぎつぎと新たな遺伝子異常が明らかとなってきている。“CMT症候群”という呼称が表すように,CMTと呼ばれる疾患は臨床経過・臨床像・検査結果が症例毎に多彩であり,これはかなりの部分は背景となる遺伝子異常に基づいていると考えられているが,全体としては以下のような臨床像を呈する。 (1)20歳以前に発症する例が多いが,いずれの年齢層でも発症しうる。 (2)多くの患者は家族歴が明らかで,遺伝形式としては常染色体優性遺伝が最も多く,常染色体劣性,伴性遺伝もみられる。 (3)下肢遠位筋の緩徐進行性の萎縮・筋力低下が主症状で,続いて小手筋の萎縮と筋力低下が現れる。四肢の腱反射は早期から低下ないし消失する。 (4)感覚障害は運動障害に較べて軽度で,ほとんど自覚していない患者さんも多い。
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