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はじめに
経済効率と病院との関係であるが,経済効率という言葉がかなり前から医療界に根を下ろし,病院は良質の医療をしていれば,それだけでよいという時はすでに過ぎたといえる。今や,病院は“事業” としての側面を否応なく,担わざるをえない状況である。しかし,医療施設は 当然のことながら企業とは異なり,単なる需要と供給との関係に立つ“事業” ではなく,いかなる場合も実際の患者診療を妨げるものであってはならない1)。 そのような背景の中で,「包括医療」と呼ばれる手順(約束事),すなわち診断群分類に基づいた包括的支払方法が厚生労働省によって提起された。
言葉の定義についてふれるが,DPC(diagnosis procedure combination)とは,日本独自の診断群分類で病名を優先させた分類であり,これに基づいて急性期入院医療の診断群分類に基づく1日当たりの包括評価制度が2003年に導入された2)。米国ではDRG(diagnosis related group)が採用されているが,これはどんな医療行為をしたのかという処置を優先させた分類である。
MDC(major diagnostic category) とは,診療科[疾患分野]ごとに分類された主要診断群を意味する。ちなみに,MDC 1=神経系疾患,MDC 2=眼科系疾患,MDC 3=耳鼻咽喉科系疾患,MDC 4=呼吸器系疾患,MDC 5=循環器系疾患,MDC 6=消化器系疾患,MDC 7=筋骨格系疾患,MDC 8=皮膚・皮下組織の疾患,MDC 9=乳房の疾患,MDC 10=内分泌・栄養・代謝に関する疾患,MDC 11=腎尿路系疾患,MDC 12=女性生殖器系疾患,MDC 13=血液・造血器・免疫臓器の疾患,MDC 14=新生児疾患,MDC 15=小児疾患,MDC 16=外傷・熱傷・中毒・異物,その他の疾患と,16のカテゴリーに分類されている。
筆者は数年前から,厚生労働省政策医療診断群分類研究班・班長(MDC 1領域),厚生労働省保険局医療課の神経内科専門委員,日本神経学会の診療向上委員会・委員,日本神経治療学会の医療対策委員会・委員,日本臨床神経生理学会の保険点数正常化委員会・委員長などの立場で,神経疾患の新DPCに関わってきた3-8)。本稿では,神経疾患の新DPC,特にその問題点と対応について,総論的に解説する。
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