1．脳梗塞に関連する頸動脈病変と冠動脈病変

Carotid and Coronary Artery Disease Associated with Brain Infarction

はじめに

　近年共通の動脈硬化危険因子で生じるアテローム血栓症，すなわちアテローム血栓性脳梗塞，虚血性心臓病，末梢動脈疾患は人類最大の死因となっている。わが国でも生活様式の欧米化によって，頸動脈病変や冠動脈病変を有する患者が非常に多くなっている。とりわけ頭蓋外頸動脈狭窄病変の頻度が増加してきており，虚血性脳血管障害の診断は脳の画像診断のみでは不十分な時代となっている。ここでは全身血管病を反映する頸動脈病変の増加の背景や冠動脈病変との関連を，脳卒中医療の視点から述べていくこととする。