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症 例 67歳,男性
2003年1月39℃の発熱があり,2日後より右前腕の疼痛・腫脹が生じ,近医で手関節のステロイド注射を受けた。翌朝,発語困難・歩行困難・尿失禁のため救急搬送されたが,入院後意識障害と項部硬直をきたし,髄膜脳炎を疑われ腰椎穿刺された。髄液細胞数21/mm3(67%多核球),蛋白420mg/dl,糖8mg/dl,血清CRP 41.0mg/dlの所見から細菌性髄膜炎が疑われ抗生剤が点滴されたが,血圧が低下し当科へ紹介された。転院直後の髄液は黄色混濁,塗抹標本で肺炎球菌を認め,CTXとASPCを投与した。また,心拡大とI・II・aVL・aVF・A2-6誘導のST上昇と心房細動,さらに心エコーにて心囊液貯留を認めた。心囊液は膿性で細菌性心外膜炎を合併していた。その後抗生剤をTAZ/PIPC,IPM/CS,CPFXと順次変更し,後遺症を残さず退院した。
MRI所見 頭部単純MRIのFLAIR画像では,脳溝はびまん性に高信号に描出された(図)。拡散強調画像では高信号部を認めず,脳膿瘍の合併はなかった。
コメント
感染性髄膜炎において,各種の撮像で脳槽が不明瞭となり,T1造影法で異常増強効果がみられることはよく知られている。FLAIR画像における脳溝高信号は,くも膜下出血や各種髄膜炎で報告されているが1, 3),髄液の蛋白濃度増加と関連している。撮像ではeffective echo time(TE)を調節する必要があるが2),くも膜下腔の疾患に対する感度はT1造影法より優れている3)。脳血管障害や腫瘍でも局所の脳溝高信号がみられることがあり4),疾患特異性はないが髄膜刺激症状を呈する患者での画像診断として有用である。
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