Guillain-Barré症候群と関連疾患の病因と病態―抗ガングリオシド抗体を中心に

Etiology and Pathogeneses of Guillain-Barré Syndrome and Related Diseases : Focusing on Anti-Gangliosides Antibody

はじめに

　Guillain-Barré症候群（GBS）は，急性に四肢の筋力低下をきたす神経・筋疾患の中で最も頻度が高く，本邦での人口10万人あたりの年間発生率は1.15人とされている。GBSでは，その経過から発症に先行感染を契機とした免疫学的機序の関与が推察されてきたが，1980年代に患者血清中に抗糖脂質抗体が見い出され，その後の研究によってGBSの病態と病因の解明は飛躍的に進んだ。GBSの発症機序として，先行感染と関連して糖脂質に対する抗体が誘導され，その自己抗体産生の免疫応答と関連して末梢神経障害が生じるというストーリーが広く受け入れられつつある。本稿では，抗糖脂質抗体の話を中心にGBSと関連疾患の病因と病態に関する知見を紹介する。