Japanese
English
研究と報告
異なるタイプの心因性健忘を呈した5症例についての検討
A Consideration of Five Cases with Different Types of Psychogenic Amnesia
白木澤 史子
1
,
高橋 典克
1
,
道又 利
1
,
齊藤 悦郎
1
,
伴 亨
1
,
鈴木 廣子
1
,
酒井 明夫
1
,
三田 俊夫
1
Fumiko Shirokizawa
1
,
Norikatsu Takahashi
1
,
Satoshi Michimata
1
,
Etsuro Saito
1
,
Tohru Ban
1
,
Hiroko Suzuki
1
,
Akio Sakai
1
,
Toshio Mita
1
1岩手医科大学神経精神科学講座
1Department of Neuropsychiatry, Iwate Medical University
キーワード:
Hysteria
,
Psychogenic amnesia
,
Conversion disorder
,
Dissociative disorder
Keyword:
Hysteria
,
Psychogenic amnesia
,
Conversion disorder
,
Dissociative disorder
pp.1065-1071
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904945
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【抄録】 青年期に発症した心因性健忘の5例を経験した。心因性健忘には,健忘が自己の全生涯に及ぶ「全般健忘」のほかに,P. Janetの記載した,ある出来事に結びついた心像体系に関する「系統的な健忘」と,何らかの出来事で占められている時期に「限局した健忘」がある。我々の5症例のうち症例1,2は全般健忘,症例3は限局した健忘,症例4は限局した健忘と系統的な健忘,症例5は系統的な健忘を呈した。
各タイプの健忘の発症に関与する個体・環境要因について検討した。「限局した健忘」と「系統的な健忘」は心因と健忘の内容,期間に相関性があり,「全般健忘」に比べ環境要因の占める割合が高いと考えられた。
Janetの神経症理論は発現する健忘の種類ばかりでなく,随伴する解離性障害,転換性障害の種類や発現順序を統一的に理解する上で有用と考えられた。
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