Japanese
English
研究と報告
妄追想により短期間に緻密な妄想体系を構築した1例
A Case in Which a Rigorous Systematized Delusion was Originated and Developed from Delusional Memories within a Short Period
道又 利
1
,
齊藤 悦郎
1
,
臼木澤 史子
1
,
伴 亨
1
,
酒井 明夫
1
,
三田 俊夫
1
Satoshi Michimata
1
,
Etsuro Saito
1
,
Fumiko Shirokizawa
1
,
Tohru Ban
1
,
Akio Sakai
1
,
Toshio Mita
1
1岩手医科大学神経精神科学講座
1Department of Neuropsychiatry, Iwate Medical University
キーワード:
Psychopathology
,
Delusional memories
,
Paramnesia
,
Paranoia
Keyword:
Psychopathology
,
Delusional memories
,
Paramnesia
,
Paranoia
pp.391-397
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903228
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
【抄録】 妄追想により,傷害致死などの事件を内容とする緻密な妄想体系をごく短期間に構築し,かつ妄追想以外の症状がほとんど認められない27歳の1男性症例を経験した。本例の主症状は,その形式から,妄追想,連想性追想錯誤などの概念に合致し,症例の症候論的検討を通じてこれらの諸概念について考察した。
本例の考察を通じて再規定される「妄追想」とは,それ自体は現状への適応を強く志向していながら,自閉性の問題に深くかかわる概念であり,そこでは,適応すべき現状と自閉的過去とで構成される「二重の見当識」が端的に示されると考えられた。また妄想の形成機序について力動的解釈をも試みた。これらの錯綜した諸問題を見通す視点を提供するという点で本症例は極めて有用であった。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.