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1996年に,全国各地の子ども虐待に関する保健医療・福祉・教育・法曹などの研究者の集まりとして発足した<日本子どもの虐待防止研究会>は,1997年の横浜大会に引き続いて,1998年9月18,19日の2日間,第4回の学術集会を和歌山市において開催した。会長は和歌山県立医科大学小児科の小池通夫教授であり,同大学小児科教室と和歌山被虐待児症候群対策委員会が会の運営に当たった。当日の参加者は約1,000名で,主会場の県民文化会館をはじめ,紀の国会館,和歌山東急インの3つの会場で,数多くの発表や討論がなされ,多くの参加者に多大の感銘を与えたものと感じている。
第1日目は,会場の都合から,それまでは2日目に開かれていた事例研究会と領域研究会とが主となった。筆者は,午前の事例研究会では,<虐待発見後の長期的援助—学童・思春期>の分科会に出席し,午後からの領域研究会では,<児童相談所の役割を考える>という分科会に参加した。ここでは,我が国の子ども虐待に関する制度の上で主に児童相談所が担わされている介入や保護の役割と,被虐待児および虐待者への指導や治療などの援助の役割を,児童相談所としてどう両立させるかが大きなテーマとなっていることから,実際に多くのケースで経験されている困難さや問題点について話し合われた。分科会のタイトルが児童相談所になっているためもあり,参加者も児童相談所関係者がほとんどになってしまったが,他の分野の方々の意見を聞くことができたらもっと有意義であったと思われた。このことは多分ほかの分科会にも当てはまるものであろう。本研究会がきわめて学際的な集まりであることから,今後の集会のあり方を考え,企画・運営するに当たって,ぜひ考慮し,工夫していただきたいものである。ちなみに,他の事例研究会としては,虐待ハイリスク家庭・法的介入・精神疾患を持つ親・被虐待児童・過去に虐待を受けた女性・施設入所児・在宅乳幼児それぞれに対する援助の8分科会,また領域別では,医師・ソーシャルワーカー・電話相談・保健所・弁護士など法律関係者・心理・看護婦・入所施設・保育者,そして教育などの12の分科会が企画実施されている。
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