臨時増刊号特集 精神医学における日本的特性
座談会
Transcultural Psychiatryについて
加藤 正明
1
,
逸見 武光
2
,
木村 敏
3
,
河合 隼雄
4
,
荻野 恒一
5
,
中根 千枝
6
1東京医科大学精神神経科
2東京大学医学部精神衛生学
3名古屋市立大学精神医学
4京都大学教育学部心理学
5東京都精神医学総合研究所
6東京大学東洋文化研究所
pp.1420-1432
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202422
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はじめに
司会(荻野) 今日は,transcultural psychiatryという比較的新しい学問をめぐって,これに造詣のふかい加藤正明先生,木村敏先生,逸見武光先生,それに隣接領域の側からの御発言や御教示を頂く目的で,ユンク心理学の河合隼雄先生と文化人類学の中根千枝先生においで頂いたわけです。土居健郎先生にもぜひ出席して頂く予定だったのですが,残念なことに御都合がわるくてどうしても出られないことになりました。
ところでtranscultural psychiatryという術語は,ここ10年の間に,多くの精神医学者によって称えられるようになり,専門誌も出来ているわけですが,この学問が例えば比較精神医学,文化精神医学,民族精神医学,横断精神医学(cross-cultural psychiatry)またひろく社会精神医学,地域精神医学などとどう違うのか,しかもtranscultural psychiatryは,これらのどの精神医学よりも新しい用語なのですが,わざわざこの用語を創作する必要性が,どこにあったのか,この辺から話を始めたいと思います。
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