Japanese
English
展望
災害精神医学の現状
A Current Review for Disaster Psychiatry
太田 保之
1
Yasuyuki OHTA
1
1長崎大学医療技術短期大学部
1The School of Allied Medical Sciences, Nagasaki University
キーワード:
Natural disaster(Acts of God)
,
Technological disaster(Acts of Man)
,
Individual and community response
,
Mental health consequence
,
Clinical intervention
Keyword:
Natural disaster(Acts of God)
,
Technological disaster(Acts of Man)
,
Individual and community response
,
Mental health consequence
,
Clinical intervention
pp.344-354
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904076
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災害に関する精神医学的研究は,西欧諸国や発展途上国で精力的に行われてきたが45),日本での研究は極めて少ない3,4,33,37)。しかし,阪神・淡路大震災を契機に,被災住民の心理社会的反応や精神医学的影響に対する関心が急速に高まってきた。日本においても,災害の精神医学的な後影響に関する継続的研究や精神保健対策に必要な全般的情報を得ることを目的とした研究の蓄積が待たれるが,これまでに発表された多数の研究をみても,災害の精神医学的影響を科学的に調査する理論的骨組みが確立していないためか,各研究結果は首尾一貫性に欠ける傾向にある13,14,29,46)。
そこで,本稿においては,(1)災害をどのように定義すれば理解しやすいのか,(2)災害という現象を人間社会の中でいかに位置づければよいのか,(3)被災住民に対する精神医学的影響がどのような性質を帯び,いかなる時間経過をたどるのか,(4)被災住民に認められる精神障害の発生頻度はどの程度なのか,(5)被災住民に対する精神保健的な支援活動の原則はどのようにあるべきか,(6)災害精神医学的研究における今後の課題とは何か,などについて言及したい。
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