Japanese
English
短報
気分障害と精神分裂病の世代間伝達の特徴についての検討—表現促進の有無
Anticipation in Mood Disorder and Schizophrenia Demonstrated by Parent-offspring Pair Method
今村 明
1,2
,
岡崎 祐士
2
,
藤丸 浩輔
3
,
福迫 貴弘
1
,
浜田 旭
2
,
辻田 高宏
4
,
松本 純隆
5
,
中根 允文
2
,
新川 詔夫
4
Akira IMAMURA
1,2
,
Yuji OKAZAKI
2
,
Kosuke FUJIMARU
3
,
Takahiro FUKUSAKO
1
,
Akira HAMADA
2
,
Takahiro TSUJITA
4
,
Sumitaka MATSUMOTO
5
,
Yoshibumi NAKANE
2
,
Norio NIIKAWA
4
1長崎県立大村病院
2長崎大学医学部精神神経科学教室
3国立長崎中央病院
4長崎大学医学部原研遺伝学教室
5道ノ尾病院
1Nagasaki Prefectural Omura Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Nagasaki University School of Medicine
3National Nagasaki Chuo Hospital
4Department of Genetics, Nagasaki University School of Medicine
5Michinoo Hospital
キーワード:
Anticipation
,
Triplet repeats
,
Mode of transmission
,
Schlzophrenia
,
Mood disorder
Keyword:
Anticipation
,
Triplet repeats
,
Mode of transmission
,
Schlzophrenia
,
Mood disorder
pp.1327-1330
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904006
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近年の気分障害や精神分裂病(以下分裂病と表記する)のDNAマーカーによる多発家系を対象とする連鎖研究は,初期の陽性結果を除いて,大部分が陰性の結果という困難に直面している。これらは方法上の制約からlod score法は優性遺伝を,同胞対法sib pair methodは劣性遺伝を仮定して行われている。陰性結果の原因としてはいくつかの理由が考えられるが,これらの疾患の遺伝的伝達様式が不明であるために,異質な家系を総和するための感度の低下も1つの要因と考えられる。したがって連鎖研究の困難を打開する1つの方法として,特徴ある家系内伝達を示す亜群に的を絞り感度を上げる工夫が必要である。
ところで,優性遺伝において分離比を乱す要因として,浸透率などと共に表現促進anticipationがある。世代が下がるにつれて,発症年齢が早期化し重症化する現象が知られており,これを表現促進という。この数年,表現促進に対応する分子遺伝学的な実体として3塩基反復配列(TripletrepeatsまたはTrinucleotide repeat sequences)の増大という現象が見い出された。この特徴を示すトリプレット・リピート病として,現在までに脆弱X症候群,筋緊張性ジストロフィー,ハンチントン病,などの疾患が知られている。先行研究においては,気分障害や分裂病に対しても表現促進が存在する可能性が示唆されている。しかしなお,その種の研究は極めて少ない。
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