Japanese
English
研究と報告
恐慌発作を有するうつ病の臨床的検討
Clinical Investigation of Depression with Panic Attack
杉原 徳郎
1
,
岸本 朗
1
,
水川 六郎
1
,
石黒 忍
1
,
松林 実
2
,
高田 照男
1
,
青山 泰之
1
,
挾間 秀文
1
Tokuroh Sugihara
1
,
Akira Kishimoto
1
,
Rokuroh Mizukawa
1
,
Shinobu Ishiguro
1
,
Minorn Matsubayashi
2
,
Teruo Takada
1
,
Yasuyuki Aoyama
1
,
Hidebumi Hazama
1
1鳥取大学医学部精神神経科
2鳥取中央病院精神科
1Department of Neuropsychiatry, Tottori University School of Medicine
2Tottori Chuo Hospital
キーワード:
Panic attack
,
Depression
,
Clinical features
,
Therapeutic response
Keyword:
Panic attack
,
Depression
,
Clinical features
,
Therapeutic response
pp.507-516
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204511
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抄録 恐慌発作を有するうつ病者について,うつ病と恐慌発作の関係,およびうつ病者で恐慌発作を有するものに対する疾病分類上の位置づけを検討する目的で,その恐慌発作の出現様式や臨床的,治療学的特徴などについて調査した。その結果,恐慌発作を有する躁うつ病者は全躁うつ病者の5.3%(26例)にみられ,恐慌発作を伴わないものとくらべて女性が多く,そのほとんどが単極型うつ病者であった。単極型うつ病者のみに限ってみると,恐慌発作とうつ病相出現の時間的関係から恐慌発作が先行するもの(13例)と,うつ病相が先行するか同時に初発するもの(11例)の2群に区分され,前者は後者にくらべて恐慌発作およびうつ病相の経過ならびに治療薬への反応が良好で,執着性格の比率が高かった。これに対し,後者では経過は不良で薬物治療に抵抗するものが多かった。これらの臨床背景から恐慌発作先行群は恐慌発作を有さないうつ病群と同質のものとして,一方うつ病相先行群はうつ病の病態を基礎にして,二次的に恐慌発作症状が惹起されたものとして理解された。
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