Japanese
English
短報
初老期発症の躁病患者にみられた炭酸リチウムによって増悪した本態性振戦の1例
A Case of An Essential Tremor Associated with Presenile-onset Mania which was Exacerbated by Lithium Carbonate
門司 晃
1
,
梅野 一男
1
,
奥山 巌
2
,
山下 法文
1
,
森本 修充
3
,
田代 信維
1
Akira MONJI
1
,
Kazuo UMENO
1
,
Iwao OKUYAMA
2
,
Norifumi YAMASHITA
1
,
Nobumitsu MORIMOTO
3
,
Nobutada TASHIRO
1
1九州大学医学部神経精神医学教室
2若久病院
3福岡赤十字病院精神科
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyushu University
2Wakahisa Hospital
3Department of Psychiatry, Fukuoka Red-Cross Hospital
キーワード:
Mania
,
Lithium
,
Essential tremor
,
Lithium-induced tremor
Keyword:
Mania
,
Lithium
,
Essential tremor
,
Lithium-induced tremor
pp.319-322
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903420
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本態性振戦は両上肢を中心とした振戦を主徴とする不随意運動で,40歳以上の人口における有病率は0.4%から5.6%で神経疾患の中では最も頻度の高い疾患に属する4,7)。本態性振戦に類似した振戦が躁病治療薬であるリチウムの最も多い副作用の1つとして認められている13,15)。
今回我々は初老期発症の躁病患者に対してリチウムを使用したところ,それまで極めて軽症であった本態性振戦が日常生活に支障を来すほど増悪した症例を経験した。筆者の知るかぎり,躁病と本態性振戦との合併例の報告はごくわずかであり1,8,11,14),リチウムによる本態性振戦の増悪に言及した論文は本邦では見当たらない。この症例の臨床および治療経過に関して,若干の文献的考察をまじえて報告する。
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