Japanese
English
研究と報告
農薬自殺企図症例の31自験例
31 Cases with Suicidal Attempt by Agricultural Chemicals
鈴木 利人
1
,
田中 芳郎
1
,
新井 哲明
1
,
高森 永子
1
,
今井 公文
1
,
松坂 尚
1
,
白石 博康
1
,
小泉 準三
1
,
小山 完二
2
,
山下 衛
2
Toshihito SUZUKI
1
,
Yoshiro TANAKA
1
,
Tetsuaki ARAI
1
,
Eiko TAKAMORI
1
,
Kobun IMAI
1
,
Hisashi MATSUZAKA
1
,
Hiroyasu SHIRAISHI
1
,
Junzo KOIZUMI
1
,
Kanji KOYAMA
2
,
Mamoru YAMASHITA
2
1筑波大学臨床医学系精神医学
2筑波大学臨床医学系救急医学
1Department of Psychiatry, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
2Department of Emergency and Critical Care Medicine, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
キーワード:
Agricultural poisoning
,
Suicidal attempt
,
Psychiatry
Keyword:
Agricultural poisoning
,
Suicidal attempt
,
Psychiatry
pp.249-256
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903410
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【抄録】 筑波大学附属病院に入院し農薬中毒と診断され精神神経科にコンサルトされた31例について精神医学的および疫学的に検討を加えた。農薬服用者の性,年齢,服用の時期,農薬の種類,職業と農薬の入手経路,服薬の状況,精神医学的背景,動機,自殺企図の徴候と既往,精神障害の既往,転帰の事項に関して検討を加えた。農薬自殺企図症例は中高年層に多く,使用された農薬は,パラコートと有機リンが全体の約8割を占めていた。また非農業関連職に従事している症例が多くみられ,その予防として農薬の管理に注意する必要があると思われた。精神医学的特徴として,農薬自殺者の多くに心理的ストレスが認められ,性格特徴や動機,服用時の状況などからさらに多様な心理機制が自殺企図に関与していた。一方,身体的転帰を左右する重要な因子は服用した農薬の種類であり,死亡例の全例がパラコートであった。農薬の毒性に関する自殺企図者の知識の有無が予後に重大な影響を与えるものと思われた。
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