Japanese
English
短報
向精神薬投与により発症したpalatal myoclonusの1例
A Palatal Myoclonus Induced by Neuroleptics
堀 孝文
1
,
石井 映美
1
,
熊谷 一弥
1
,
田所 稔
1
,
茂呂 和生
1
,
矢野 和之
1
,
香取 郁雄
1
,
小泉 準三
2
Takafumi Hori
1
,
Terumi Ishii
1
,
Kazuya Kumagai
1
,
Minoru Tadokoro
1
,
Kazuo Moro
1
,
Kazushi Yano
1
,
Ikuo Katori
1
,
Junzo Koizumi
2
1石崎病院
2筑波大学臨床医学系(精神医学)
1Ishizaki Hospital
2Department of Psychiatry, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
キーワード:
Palatal myoclonus
,
Neuroleptics
,
Serotonin
Keyword:
Palatal myoclonus
,
Neuroleptics
,
Serotonin
pp.1013-1016
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903315
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■はじめに
myoclonusは筋束の一部または全部に急激で短時間筋収縮が起こる不随意運動の一種である。このうち軟口蓋に限局してみられるものをpalatal myoclonusといい,1886年Spencer14)によって最初に記載されて以来多数の症例報告がなされてきた。palatal myoclonusは毎分120〜140回程度の規則的かつ持続的な不随意運動であり,軟口蓋のみならず咽頭,喉頭,横隔膜などの鰓弓由来筋にもしばしば広がる1,7)。その責任病巣はmyoclonusと同側の小脳歯状核,対側の赤核,下オリーブ核などを結ぶGuillain-Mollaretの三角と呼ばれる領域が重要であると考えられている4)。palatal myoclonus発症の原因疾患となるもので最も多いのは脳血管障害であり1,7),その他脳腫瘍14),多発硬化5),脳炎5),頭部外傷6)などの脳疾患でも認められているが薬物の投与により発症したとするものは現在まで報告がない。我々は今回,精神分裂病の患者で向精神薬による治療中palatal myoclonusを呈し,薬物の中断や再開とpalatal myoclonusの発症との間に因果関係を認めた1臨床例を経験したので報告する。
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