Japanese
English
特集 不安の病理
不安の脳生理学
Neurophysiology of Anxiety
前田 久雄
1
,
山田 尚吾
1
Hisao Maeda
1
,
Shogo Yamada
1
1九州大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.1319-1326
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903163
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■はじめに—不安と恐怖
不安の脳生理学について述べようとする場合,その知見のほとんどは動物実験によって得られたものとなる。人間が主観的に感じる不安感,その際に観察される身体的,行動的表出などとのアナロジーを動物に求めることによって動物モデルとし,その中枢機序を探るという手続きによって不安の脳生理学なるものが成り立つことになる。
アナロジーが求められるべき人間の不安についても,不安と恐怖との区別が必ずしも明確ではない。一般には,対象のない漠然とした恐れが不安であり,対象のあるものが恐怖であるとされているが,恐怖といわれるものの中にも不安としての要素がかなり混在しており,他方,予期不安といわれているものでは恐れの対象が存在していることになる。このような論議は他の章においてすでになされているとおりである。
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