Japanese
English
特集 不安の病理
うつ病の不安
Anxiety in Depression
広瀬 徹也
1
Tetsuya Hirose
1
1帝京大学医学部精神科学教室
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
pp.1293-1298
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903159
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■はじめに
うつ病の不安は患者にとってただでさえ耐えがたい抑うつ気分や抑制に加えて,決定的な苦痛を与える症状であり,最悪の場合は自殺と結びつく。
理論的には不安と抑うつは対峠される関係にあるが,実際には複雑な組合せで重複して現れるのが臨床的現実である。それをめぐって様々な見解が示されてきたが,まだ最終的に解明されたといえる段階にない。
不安と抑うつをめぐる長い論争の歴史12)の中で,この10年間ほど全世界的な規模で議論が闘わされたことはないかもしれない。DSM-Ⅲ2)(1980)による従来の不安神経症のパニック障害(PD)と全汎性不安障害(GAD)への分離に始まり,前者のうつ病の関連が種々な観点から明らかにされるにつれ,合併(comorbidity)という概念が他の精神疾患の間にも広がりつつある。本稿ではそのような流れを踏まえて,うつ病の不安について述べることにする。
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