増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
産科編
VII 偶発合併症妊娠
統合失調症/うつ病/不安障害
岡垣 竜吾
1
,
新澤 麗
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.315-318
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103748
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾患の概要
妊娠に合併する精神科疾患には,統合失調症,うつ病,不安障害(恐怖症,全般性不安障害,強迫性障害,パニック障害など),人格障害,てんかん,精神発達遅滞,解離性障害などが含まれる.各疾患の診断は米国精神医学会の「精神疾患の診断と統計のためのマニュアル」(DSM-IV-TR.2014年からはDSM-5が導入される予定)に準拠して,精神科の専門医によりなされる.
精神疾患合併妊娠は妊娠・分娩管理が困難であると認識されている.特に統合失調症では精神科的な介入を要する率が高い.急性期には幻覚・妄想,興奮,昏迷などがみられ,自傷や他害に至る場合があり,慢性期では感覚鈍麻や意欲低減,自閉などをきたす.入院管理を要する場合は,統合失調症妊婦において約35%,うつ病では約10%,不安障害の場合には稀である.入院管理の必要性についての判断は,基本的に精神科医師が精神医学的所見をもとに下す.本人の同意がなくとも家族の同意で入院とできる「医療保護入院」,自傷他害のおそれがある場合に2名の精神保健指定医の判断により入院とできる「措置入院」を要す場合がある.本人の精神状態を考慮して決定される帝王切開は統合失調症で最も高く,約10%である.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.