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短報
予後良好な単純ヘルペス脳炎の1例—特にIgG捕捉ELISA法とSPECTによる診断について
A Case of Herpes Simplex Encephalitis with Benign Prognosis: its diagnosis by IgG-C-ELISA and SPECT
黒川 賢造
1
,
地引 逸亀
1
,
山口 成良
1
Kenzo Kurokawa
1
,
Itsuki Jibiki
1
,
Naruyoshi Yamaguchi
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kanazawa University School of Medicine
pp.1001-1004
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903117
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■はじめに
単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis;HSE)は急激な経過をたどり,発熱や意識障害,けいれんなどの症状8)を呈し,神経学的所見,髄液所見,血清学的所見などによりその診断は比較的容易と思われる。しかし,精神症状を初発とし内因性精神病や心因反応との鑑別が困難な例3)も多いことが知られている。
今回我々は,傾眠,情動変化,性欲亢進,脱抑制など多彩な精神症状で発症し,髄液所見や一般的なウイルス抗体価の有意な上昇を欠いたが,近年血清学的診断法で確立されつつあるIgG捕捉ELISA法(IgG capture enzyme linked immunosorbent assay;IgG-C-ELISA)1,9)とSPECT(single photon emission computed tomography)所見によってHSEと診断され,その後の治療で治癒した1症例を経験した。これら新しい検査はHSE診断において有用と考えられたので報告する。
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