Japanese
English
研究と報告
非分裂病性自生思考が単一症候的に出現した1症例
A Case with Non-schizophrenic Autochthonous Idea
井上 洋一
1
,
水田 一郎
2
,
小川 朝生
1
Yoichi INOUE
1
,
Ichiro MIZUTA
2
,
Asao OGAWA
1
1大阪大学健康体育部カウンセリング学部門
2大阪大学医学部精神医学教室
1Department of Counseling Psychology, School of Health and Sport Sciences, Osaka University
2Department of Psychiatry, Osaka University Medical School
キーワード:
Autochthonous idea
,
Automatisme mental
,
First rank symptoms
Keyword:
Autochthonous idea
,
Automatisme mental
,
First rank symptoms
pp.129-136
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902579
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【抄録】 分裂病の病像が混在せず,自生思考を唯一の症状とする中年女性患者の3年間にわたる経過を報告し,症候論的検討を行った。本症例は精神分裂病には該当せず,非分裂病性であると考えられた。自生思考は意図的な精神活動が減弱した間隙に出現しており,意識下にある思考の表面化したものであると考えられた。また本来的に持続的性質を持っている可能性を指摘した。
自生思考は,思考の発信の自己所属感が失われているために,発信と受信の同時性が体験されず,その結果,患者には会話的な特性を持つものとして感じられること,会話的性質は聴覚性と他者性の病理へ発展する可能性を内包していることを論じた。
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