Japanese
English
研究と報告
長期全生活史健忘の1鑑定例—健忘長期化要因と司法判断
A Case of the Woman Suffering from Prolonged Amnesia of Personal History and its Psychiatric Evidence
大家 尚文
1
,
志波 充
1
,
郭 哲次
1
,
坂口 守男
1
,
吉益 文夫
1
Takafumi OYA
1
,
Mitsuru SHIBA
1
,
Tetsuji KAKU
1
,
Morio SAKAGUCHI
1
,
Fumio YOSHIMASU
1
1和歌山県立医科大学神経精神科
1Department of Neuropsychiatry, Wakayama Medical University
キーワード:
Amnesia of personal history
,
Psychiatric evidence (Foren-sic examination)
,
Dissociation
Keyword:
Amnesia of personal history
,
Psychiatric evidence (Foren-sic examination)
,
Dissociation
pp.1317-1323
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902544
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【抄録】 家庭裁判所より就籍許可申立事件での鑑定命令のあった全生活史健忘の事例を報告した。本症例での健忘持続期間は鑑定時において18年に及んでいた。本邦の就籍許可申立事件では,本症例より長期の健忘持続の事例で就籍が認容されたものが筆者の知るかぎりで数例存在する。本症例では「積極的に詐病と考えられる点はなく,解離による遁走を伴った全生活史健忘と考えられる。ただし,解離性健忘のみでこれほど長期の健忘持続を説明することは困難である」との鑑定書を提出した。審判結果は申立の「認容」であった。本人を全生活史健忘であると考えた際の健忘長期化の要因と,このような事例での司法判断について私見を述べた。そして,必ずしも詐病との鑑別が司法判断において一義的でないことを指摘した。
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