Japanese
English
短報
髄液中アミロイドβ蛋白・タウ蛋白を検討しえた石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)の1例
A Clinical Case of Diffuse Neurofibrillary Tangles with Calcification (DNTC)
奥村 匡敏
1,2
,
北端 裕司
2
,
志波 充
2
,
郭 哲次
2
,
吉益 文夫
2
Masatoshi OKUMURA
1,2
,
Yuji KITABATA
2
,
Mitsuru SHIBA
2
,
Tetsuji KAKU
2
,
Fumio YOSHIMASU
2
1国保日高総合病院精神神経科
2和歌山県立医科大学神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Hidaka General Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Wakayama Medical University
キーワード:
DNTC
,
CSF amyloid-β protein
,
CSF tau protein
Keyword:
DNTC
,
CSF amyloid-β protein
,
CSF tau protein
pp.555-557
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902648
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(Diffuse neurofibrillary tangles with calcification;DNTC)は1965年に安藤烝らが初めて報告し,1992年に小阪が1疾患単位として提唱した初老期痴呆性疾患3,4)である。Shibayamaらはこれをnon-Alzheimer non-Pick dementia with Fahr's syndromeと名づけ,Kosaka-Shibayama's diseaseとも呼ばれる5)。有病率は明らかではないが,田辺らの報告11)によれば,3,000人の痴呆患者中に占める割合は0.13%である。臨床像は初老期に記憶障害で発症し緩徐に進行する。失行,失認や視空間障害は目立たず,感情的接触性が保たれ,初期に精神症状(幻覚妄想状態)を伴ったり10),入格変化や言語機能の障害などの症状が混在する。また,神経学的にはパーキンソン症状がみられることがあり,末期にはけいれん発作,ミオクローヌスが出現し,失外套症候群に近い状態となり,感染症などにて死亡する。放射線学的には,側頭葉や前頭葉優位の萎縮と広範な石灰化を認める。病理学的には,大脳皮質に多数の神経原線維変化をみるが,老人斑やピック嗜銀球を欠くなどの特徴を有する。今回,我々は臨床的にDNTCと診断された1例を経験し,髄液中アミロイドβ蛋白(Aβ)とタウ蛋白を測定しえたので報告する。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.