Japanese
English
研究と報告
強迫性障害患者における大うつ病のcomorbidityと治療反応性への影響
Clinical Characteristics in OCD Patients with Comorbid Major Depressive Disorder
松井 徳造
1
,
松永 寿人
1
,
岩崎 陽子
1
,
大矢 健造
1
,
越宗 佳世
1
,
笠井 慎司
1
,
切池 信夫
1
Tokuzo MATSUI
1
,
Hisato MATSUNAGA
1
,
Yoko IWASAKI
1
,
Kenzo OHYA
1
,
Kayo KOSHIMUNE
1
,
Shinji KASAI
1
,
Nobuo KIRIIKE
1
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University Medical School
キーワード:
Obsessive-compulsive disorder
,
Major depression
,
Comorbidity
,
Cognitive behavioral therapy
,
Combination treatment
Keyword:
Obsessive-compulsive disorder
,
Major depression
,
Comorbidity
,
Cognitive behavioral therapy
,
Combination treatment
pp.957-962
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902489
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【抄録】 本研究では,DSM-IVの強迫性障害(OCD)の診断基準を満たした98例(男性35例,女性63例)を対象とし,初診時に大うつ病性障害(MDD)の共存を認めるOCD患者の割合とその臨床的,治療的特異性を検討した。また薬物療法と認知行動療法とのcombined treatmentによる治療反応性を1年後に評価し,初診時のMDD共存が治療予後に及ぼす影響を検討した。
その結果,35例(36%)に初診時MDDの共存を認め,MDDを有する群は,有さない群に比し,既婚者の割合が高率で,全体的な機能水準が有意に低レベルであった。またMDDを有する群では,女性の割合や発症年齢などが高い傾向にあった。しかしながら両群間には,強迫症状の内容や重症度,不安の程度など,他の臨床症状に差がなく,また1年後のOCDの改善率においても,両群間に有意差を認めなかった。このため,初診時にMDD共存を認める患者が,臨床的,治療的に特異的亜型を形成する可能性は乏しく,MDDの治療予後への影響は少ないものと考えた。
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